秒読みのルール
秒読みは囲碁の時間延長の方式です。各対局者に持ち時間が与えられ、そのあと決まった回数の一期が続きます。たとえば 20 分に 30 秒の一期 5 回です。持ち時間が尽きると、すべての着手を一期の内に終えなければなりません。内に終えれば一期は満額に戻り、超過すればその一期は永久に消えて次の一期が始まります。最後の一期を超過すれば時間切れ負けです。
誰もが間違える唯一のルール
初めての人はほぼ必ず、着手すると一期が消費されると思い込みます。そうではありません。これが秒読みについて理解すべき最も大事な一点です。
- 一期の内に着手を終えれば、一期は満額に戻ります。消費されません。30 秒の一期で 28 秒ずつ 200 手打っても、一期はすべて手つかずのままです。
- 一期を超過すれば永久に消え、次の一期が同じ着手のために直ちに数え始めます。30 秒の一期で一手に 65 秒使えば二つの一期を失い、三つ目で着手を終えることになります。
- 最後の一期を超過すれば時間切れ負けです。
余った秒は決して累積しません。3 秒で打った手が 27 秒を後のために貯めることはなく、次の一期は単に 30 秒から始まります。使わなかった時間が積み上がるフィッシャー方式とは正反対です。
実例:20 分 + 30 秒 × 5
これは世界で最も一般的な棋院・大会の設定です。実際の一局はこう進みます。
- 序盤と中盤。自由に考え、20 分の持ち時間を使います。ゼロになっても終わりではありません。5 回の一期を手つかずのまま秒読みに入ります。表示は 30 秒の一期と「× 5」に切り替わります。
- リズムに乗る。各手を 10 〜 25 秒で打ちます。一手ごとに一期は 30 秒へ戻ります。一期はまだ 5 回残っています。これはいつまでも続けられます。
- 難しい局面。死活を読み切る必要があり、50 秒使います。最初の一期が消え、二つ目の内に着手を終え、その一期が戻ります。残りは 4 回です。
- 終盤。残りの一期は、対局の残りに使える 4 回の深い長考にあたります。30 秒の内に打てる普通の手には代償がありません。一期を命のように配分します。
これが秒読みの性格です。絶え間なく一定の圧力がかかり、長考の回数は数えられます。対局の残りのどの一手にも — 250 手目でさえ — 少なくとも 30 秒が保証されます。囲碁の長い終盤に必要なのは、まさにこれです。
なぜ囲碁はこの方式で、チェスは違うのか
囲碁の一局は簡単に 250 手を超え、終盤では 1 点 2 点の単位で勝敗が動きます。一つの持ち時間の蓄え — チェスの方式 — は、尽きたところで対局を恣意的に終わらせ、しかもほぼ終わっている局面でそうなりがちです。秒読みはその蓄えを一手ごとの締切に置き換えるので、対局が終わるのは 30 秒で手を見つけられなかったからであって、終盤の途中で時計が切れたからではありません。
名前は文字どおりです。プロの囲碁では記録係が盤の横に座り、終わりの秒を声に出して読んでいました — 「…二十、…二十五、…二十六、二十七…」。だから囲碁の打ち手が時計に期待するのはビープ音ではなく音声の読み上げです。Byoyomi Timer はその秒を日本語・韓国語・中国語・英語・ドイツ語で読みます。
表記とよく使われる設定
秒読みの設定は通常、持ち時間 + 回数 × 一期の長さの形で書かれます。
| 設定 | 意味 | 見かける場面 |
|---|---|---|
| 5 分 + 10 秒 × 3 | 5 分のあと 10 秒の一期が 3 回 | 早碁 |
| 10 分 + 20 秒 × 5 | 10 分のあと 20 秒の一期が 5 回 | 棋院での軽い一局 |
| 20 分 + 30 秒 × 5 | 20 分のあと 30 秒の一期が 5 回 | 最も一般的な棋院標準 |
| 45〜60 分 + 30 秒 × 5 | 1 時間近くのあと 30 秒の一期が 5 回 | ヨーロッパの大会 |
| 2〜3 時間 + 60 秒 × 5 | 数時間の持ち時間のあと計 5 分ぶんの一期 | プロの対局とタイトル戦 |
持ち時間がない設定も有効です。「30 秒 × 3」は初手から秒読みという意味です。OGS や IGS を含むオンラインサーバーはほとんどの対局種別で秒読みを既定値としており、だからこそ多くの打ち手が最初に出会う方式になっています。
スマートフォンの秒読みとハードウェアの秒読み
秒読みを正しく扱う専用の囲碁時計は存在しますが、ニッチな製品です。安価なデジタルのチェスクロックは一般にインクリメントとディレイしか備えず、どちらも戻る一期のようには振る舞いません。ここではスマートフォンに利点があります。画面は進行中の一期と残りの回数を同時に、碁盤をまたいで読める大きさで表示でき、読み上げもできます。
Byoyomi Timer では秒読みは追加モードではなく既定の方式です。持ち時間、一期の長さ、回数はいずれも自由に設定でき、秒読みへの移行は声で知らされ、何か問題が起きれば審判が対局中に回数を修正できます。双方に別の回数を与えることもでき、これが指導碁に差をつける自然な方法です。
